IKTT Japanは、長い戦乱で失われつつあったカンボジア独自のすばらしい伝統織物の復興をつうじて、人びとの暮らしと、それを支える自然環境の再生を目指し、カンボジアで活動を続ける現地NGO、IKTT(クメール伝統織物研究所)と、その創設者である故・森本喜久男の活動を支援するために発足した非営利任意団体です。 IKTT Japan Newsは、おもに日本国内でのIKTTに関するイベント情報やメディア掲載情報をお伝えしていきます。
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2013-01-29
上空から見た「伝統の森」工芸村周辺
森本さんがfacebookにアップした「伝統の森」の工芸村エリアの写真を再掲します。
今回のものは、「伝統の森」の北東上空から俯瞰した写真です。中央にある集落が工芸村、そのなかでもいちばん大きく屋根が写っているのが、メインの作業棟です。2階がショップ、1階には織り機が並び、その傍らではシルクやコットンの糸引きなどの作業が行なわれています。その右側に集まっている家々は、織り手や括り手の暮らす高床式家屋(1階は作業場)と、染め場や長屋のような集合住宅などです。作業棟の左側、木々に埋もれるように見える屋根は、2階に森本さんのデスクのある事務棟です(階下のオープンスペースは、スタディツアーのミーティングなどに使われています)。
沼地が工芸村をぐるりと囲んでいます。手前中央の開けたところは桑畑と綿花畑です。「伝統の森」のなかでいちばんきれいな水の得られる井戸も、ここにあります。これらの畑と工芸村を結ぶ細い道は、雨季には水没し、大きく回り道をしなければならないこともあります。
写真右手から工芸村にまっすぐ向かう道の傍らにある白い屋根は、牛小屋と資材置き場です。左手上部の開けたところは、野菜畑と桑畑です。
それにしても、上空から見ても家々が隠れてしまうほどに「伝統の森」の木々が育ってきていることに、深い感慨を覚えます。1月8日付のメルマガ「メコンにまかせ」で、森本さんは「本当に、何もなかった荒地に、人びとが暮らす村を作ってしまったわけで、最近『10年あれば森や村が作れる』そんなタイトルのハウ・ツー本を書こうかなと、本気半分、冗談半分で思ったりしております」と書いていることもウソではない、と思います。
なお、この写真と同じ時に撮影された「伝統の森」工芸村の写真がこちらにもありますので、併せてご覧ください。
2013-01-14
森本さんから新年のご挨拶
少々遅くなってしまいましたが、1月8日付で配信されたメールマガジン「メコンにまかせ」(vol.281)での、森本さんの新年の挨拶をご紹介します。
みなさま、あけましておめでとうございます。IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。
新年を迎えました。新しい年、つねに新しい時代への門出でありたいと願っております。みなさま、お元気でお過ごしのことと思います。ともに、この新しき年の門出を祝えればと願います。
「伝統の森」再生計画も、その始動から10年を過ぎ、当初のもくろみの8割は達成できたのではないかと思っております。とりわけ、大きな成果といえるのは、私たちが10年かけて育ててきた「森」に、この事業の象徴ともいえるラックカイガラムシを取り戻すことができたことです。しかし、小水力発電や、バイオマス、ソーラーなどによるエネルギー自給や、オーガニック・ファームへのさらなる実現に向けて、これからも試行錯誤を続けていければと思っています。
本当に、何もなかった荒地に、人びとが暮らす村を作ってしまったわけで、最近「10年あれば森や村が作れる」そんなタイトルのハウ・ツー本を書こうかなと、本気半分、冗談半分で思ったりしております。
昨年一年間に、「伝統の森」には200人を超える方々が滞在し、自然のなかで、人の手だけでできあがっていくヒューマンメイドの布、その制作現場を見ていただくことができました。感謝。
そして、訪ねてきてくれた若者たちには、「妄想の持ち方」を指南し始めています。すべては妄想から始まり、それは夢へ、そして信念へ、確信そして実行。
時代は、私たち自身の手で作るもの、誰も作ってはくれません。そんなことを思う、新しき年の門出であります。今年もどうかよろしくお願いいたします。
すべての人びとが、幸せであることを願いながら。すべての出来事への感謝の気持ちとともに。
我心無限、我在自由、我業無限、
2013年1月吉日 伝統の森にて
森本喜久男
森本喜久男
【以上、メールマガジン「メコンにまかせ」掲載記事から再掲】
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