【書誌データ】
書名:Bayon Moon - Reviving Cambodia's Textile Traditions
著者:Morimoto Kikuo
発行所:IKTT
発行:2008年1月
※この「Bayon Moon」は、私家版です。基本的には、シエムリアップのIKTTのショップで販売しています。日本国内でのご購入に関しては、information@iktt.orgまでお問い合わせください。
【内容紹介】
森本さんの著書の英語版「Bayon Moon」を紹介します(A5判、160ページ)。これは、2002年夏の時点で、森本さん自身がまとめたものなのですが、なぜかこれまで日の目を見ずにいました。新刊『カンボジア絹絣の世界』と、1998年刊行の『メコンにまかせ』の間をつなぐ“幻”の原稿といえましょう。それが、森本さんの古くからの友人、ワシントン在住のLouise Cortさんの手によって英訳されました。
『メコンにまかせ』は、東北タイの村々をまわるなかでのさまざまな知見・経験を踏まえて、カンボジア・ユネスコの調査に携わり、やがてIKTTを設立するまでの記録といえるでしょう。一方、この「Bayon Moon」は、IKTTがシエムリアップへの移転を経て「伝統の森」の計画予定地がようやく確定し、いよいよ「伝統の森」再生計画を実施に移そうとするまでの出来事が、森本さんの過去のさまざまな経験とオーバーラップするように記されています。
この原稿が2002年の夏にまとめられたものということは、森本さんが研究所をシエムリアップに移転して2年が経ち、わずか数人で始めた工房が研修生の受け入れにより大きくなりつつある頃のことです。その頃「日本人のモリモトのところへいけば仕事がもらえる」とばかりに、働かせてくれという女性たちが毎日のように研究所を訪れていました。「ウチは福祉事務所じゃないぞ!」と愚痴をこぼしつつも、そんな彼女たちを少しずつ受け入れていった結果が、やがて400人近い数の研修生を抱える現在のIKTTへと発展したのです。
しかしその現実は、おそらく「この大人数を“食わせ”ていかなければ」という森本さんの切迫感でもあったはずです。そのことが森本さんの目をさらに先に向けさせました。カンボジア・ユネスコの調査で、多くの村々をまわったときの印象と、かつて東北タイの村を頻繁に訪れていたときの体験がオーバーラップし、ついには「伝統の森」再生計画のアイデアとして結実します。そして、それが実現に向けて動き出すのです。
2008年1月、フランスの旅行会社Asia Voyageがパリで開催したIKTTの展示会に、森本さんはできあがったばかりの、この「Bayon Moon」を携えていったそうです。そして、本書を読み通したフランスのジャーナリストに「ここにはモリモトのフィロソフィーがつまっている!」と絶賛されたそうです。
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