9月12日、「蚕まつり」当日の朝は、食事の準備に始まりました。
前の晩、ファッションショーを終えた後のステージで、遅くまで踊りまくっていた若者たちも、鶏をさばいたり、米を洗ったり、あるいは来客用テントの下の円卓テーブルを整えたりと、それぞれの持ち場で働いています。その様子を見ていて、森本さんはこう言いました。
「毎年やっているからだとは思うけれど、みんな作業の流れをわかっていて、どんどんテキパキ仕事が進んでいくんだ。ほら、ちゃんと全体を見回して、足りないものを指示するスタッフもいるんだ。すごいよね」
昨夜、ステージとなった高床式家屋の2階、つまり「伝統の森」のショップ&ギャラリーのフロアに、儀式用のスペースが作られました。そこで、僧侶への捧げ物の準備をするのは、おばあたちです。
8時を回ったころ、「伝統の森」に僧侶たちが到着し、蚕供養の儀式が始まりました。
いくつかの読経が行なわれたあと、列席者たちが順に、僧侶に食事を供します。5人の僧侶の前に置かれた鉢に、列席者たちが交代で、ご飯を少しづつよそっていきます(上座部仏教では、僧侶に施しをする行為が自分の徳を積むことになるとされているからだと思います)。これが一巡し、蚕供養は終りました。
蚕供養を終えた後も、森本さんの周囲はいろいろと忙しそうでした。地元メディアの取材もありました。IKTTに関するドキュメンタリー番組を制作するという前提で、プレ取材にやってきていたTVK(カンボジア国営テレビ)のディレクターとカメラマンは、森本さんと共同呼びかけ人のチアさんを前に、あれこれと質問していました。どんな番組になるのでしょうか。
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その後、しばらくの休憩の後、日本から「蚕まつり」に参加した人たちを前に、森本さんがカンボジアの布の話をしました。IKTTで制作する布はどんなものなのか、なぜIKTTでは布を作るのに桑の木を育てるところからやっているのか。カンボジアでかつて織られていた「すばらしい布」とはどんなものなのか。そして、すばらしい布を織り上げるために、いま必要なものは何なのか。・・・そんなことを、いくつかの布のサンプルを手に、森本さんが語ってくれました。
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