2月19日に、一宮地場産業ファッションデザインセンターで開催された、尾州テキスタイルデザイナー協会主催のセミナーでの森本さんの講演会の写真が届きました。
尾州(尾張平野周辺)は、もともと織物が盛んな地域で、古くは絹織物や麻布で知られ、安土桃山時代に綿花栽培が広まると綿織物が絹織物を凌ぐまでに成長し、江戸時代には桟留縞(さんとめじま)が、尾州特産として広く名を馳せました。その後、明治期に入ってからは綿織物から毛織物へと生産の主軸を移すことに成功します。
このように織物と深いかかわりを持ってきた尾州産地の方々が、今回のセミナーのテーマに掲げたのは、「技術の継承」と「産業復興」でした。カンボジアの伝統織物復興に携わってきた森本さんの話から、新しい時代におけるものづくりへの取り組みのきっかけをつかみたいと、講演依頼が入ったそうです。
当初、森本さんは「カンボジアでの自分ひとりの経験が、産地の方々にとって意味があるのだろうか」と講演を引き受けるのに躊躇したのだといいます。しかし、「作りたいモノ、自分が納得できるいいモノを作りきらなければ」という自分の言葉に深くうなずいてくれた人たちを見て、安心したそうです。
また、藍染めを例に出しての「急いで染めた色は、急いで落ちる」という話には、講演後の歓談のなかで「機械織りの毛織物であっても、スピード(=生産性)を考えるのではなく、機械をゆっくり動かして織ったものはいい風合いがでるんだよ」という話が返ってきたことで、ものづくりをきちんと考えている人たちの思いを共有できたのではないか、と感想を述べていました。
2010-03-01
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