2010-02-28

2005年制作のドキュメンタリー番組(360°-GEO Reportage)のご紹介

 ドイツとフランスの共同テレビ局ARTEで、2005年に制作・放送されたIKTTに関するドキュメンタリー番組(360°-GEO Reportage)が、ヨーロッパで再放送されているようです。
 それぞれの番組紹介は、フランス語版Cambodge, le cri de la soie (カンボジア・絹の叫び) と、ドイツ語版Kambodscha - Die Seele der Seide (カンボジア・絹の魂)でご覧になれます(それぞれの邦題は直訳です)。
 字幕付きで、日本でも放送されればいいと思うのですが・・・。
 

2010-02-27

スタディツアーレポート~2月9日、「日本の次世代リーダー養成塾」

 2010年2月9日に「伝統の森」を訪問された、「日本の次世代リーダー養成塾」卒業生によるスタディツアーのレポート(クメール伝統織物研究所「伝統の森」訪問)が、同塾のブログサイトで公開されています。

2010-02-22

内藤順司写真展と、森本さんの講演会、終了しました

 昨21日、広尾のJICA地球ひろばで開催されていた内藤順司写真展「甦るカンボジア:伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」が終了しました。
 そして、国内4ヶ所で開催された森本さんの講演会も、すべて終了しました。
 それぞれの会場にお越しいただいたみなさま、ありがとうございました。

 今回の一連の報告会を終えて、森本さんは、こんな感想をもらしていました。
「これまでのIKTTのイベントに足を運んでくれていた人たち(それは大きく3つに分かれ、森本さんがテキスタイルラバーと呼んでいるIKTTの布が好きなグループ、カンボジアの女性たちの生活の支援・向上を考える人たちのグループ、そして「伝統の森」に象徴される自然の再生や村の生活の再生に関心を寄せるグループになると思うのですが)とはまた違った人たちが、新たにIKTTの活動に興味を持ち始めているような気がする」
 そしてそれは、日本の世相というか社会状況が変化していること――右肩上がりのビジネスモデルが続かなくなっていること――とも関連することだと思う、と。
 そしてもうひとつ。自分が15年前にカンボジアの村々を回り、おばあたちを訪ねて歩き、そこで出会ったおばあたちの「手の中の記憶」を若い世代に繋いでいく仕事をしてきたが、今度は、同じことを日本で促すことが必要なのかもしれない、と。
 森本さん自身が日本各地を回るわけではないのでしょうが、森本さんのところにきた若い人たちに、自分の地元にいるおばあを訪ね、糸紡ぎや醤油作りなどを学びつつ、自分たちの暮らしを見直し、自分たちで自分たちの暮らしを再生させていく作業をするように促すことが必要なのかもしれない、と。

 

※写真左は、写真展の設営が終った会場を俯瞰したもの(写真 石橋俊治)、そして右はJICA地球ひろばでの森本さんの講演会のひとコマです(写真 内藤順司)。

2010-02-17

座ぐり-繭から生糸を引く

 2月16日に配信されたメールマガジン「メコンにまかせ」(vol.206)で、森本さんは「伝統の森」での、最近の座ぐり(繭から生糸を引く作業)について、次のように記しています。
 そのときの写真が森本さんから届きましたので、あわせてご紹介させていただきます。

 数人の女性たちのざわめきで、何事かなと思いながら目が覚めた。そうだ。昨日から始めた繭から糸を引く作業の準備が、わたしの家の前ですでに始まっているのだ。
 石で簡単なかまどを作り、そこに大きめの素焼きの壺を置き、火を起こす。もちろん薪で。この壺で、繭を茹でて糸をひく。昔ながらの簡単な道具によるやりかた。日本では、座ぐりと呼ばれる技法である。そして“釜茹での刑”になる蚕たち。黄色い繭から、鮮やかな黄色い生糸が引かれていく。
 お母さんの周りには、たくさんの子どもたちが集まり、茹で上がった蛹を、おやつにもらうことを楽しみに待っている。座ぐりの素焼きの壺は三組。それぞれに、三人がついている。一人は、糸を繭から引く係。二人目は新しい繭を壺に入れる係。もう一人は、糸が引かれたあとの、おやつになる蛹を取る係。そして、その横では、若い女性が引き上がった生糸を膝に載せ、糸筋を整理している。十数人の女性たちが手際よく働く姿は、見ていて、とても微笑ましい光景。そして男たちは、薪を割り、運んでくる。
 この女性たちの多くは、カンポット州からの移住組。2003年以降、「伝統の森」での桑畑と養蚕の事業開始のために、400キロの遠路をはるばる来てくれた、村の養蚕のプロたち。

 わたしの、彼ら彼女らとの最初の出会いは、1995年2月。考えてみれば、早いものでもう15年になる。そんなことを思い出しながら、目の前で引かれていく黄色いきれいな生糸に見入る。
 ユネスコの調査で、カンボジア各地を回り、途絶えているとされていた養蚕の村を探していた。そんななかで出会ったのが、カンポット州タコー村。内戦前には、養蚕が盛んだったという。しかし、人づてに聞いて、わたしが村を訪ねたとき、すでにその面影はなかった。それでも、この村には養蚕のための道具が大切に残されていた。
 そんな、かつての養蚕の村で伝統的養蚕を再開しようと、わたしがタコー村に蚕の卵を届けたのが1995年の7月。改めて9月には、蚕を繭の状態で届け、ようやく養蚕再開を果たすことができた。そのときの、村のおばあやおじいの、息子や娘にあたる若者たちが「伝統の森」にやって来たのは2003年のこと。彼ら彼女らは、ここでは桑畑の世話と蚕を育てることが主な仕事。そしていま、タコー村の伝統の知恵が、わたしたち「伝統の森」に甦っている。

【以上、メールマガジン「メコンにまかせ」掲載記事から抜粋、一部加筆修正】
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2010-02-16

内藤順司写真展「甦るカンボジア」始まりました

 本日(2月16日)より、広尾のJICA地球ひろばで、フォトグラファー内藤順司氏による写真展 「甦るカンボジア:伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」が始まりました。
 80点あまりの写真に囲まれていると、ふと「伝統の森」に滞在したときのことを思い出し、寒い東京にいることを忘れそうです。
 以下の写真は、写真展前日に、協力スタッフとともにパネル設営にご自身で取り組んでいる内藤氏の様子です。

 

内藤順司写真展「甦るカンボジア:伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」
 と き:2月16日(火)~21日(日)
 ところ:JICA地球ひろば
     1階 企画展示スペース
     東京都渋谷区広尾4-2-24
     (tel.03-3400-7717)
 アクセス:日比谷線 広尾駅下車
     (3番出口)徒歩1分

 なお、2月20日(土)には、森本さんの報告会「シエムリアップ・現地からの報告~伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」も同時開催となります。

※内藤順司氏の2/17付の「関心空間」でも、写真展準備の様子がアップされました。

2010-02-13

山梨県立博物館で「世界遺産アンコールワット展」開催中

 1月に、東京日本橋の三越で開催された「世界遺産アンコールワット展」が、現在は山梨県立博物館で開催されています。会期は3月22日(月)までです。(その後、3月26日から4月13日まで、金沢の大和香林坊店で開催予定となっています)。
 日本橋三越の会場は、かなり混み合っていたので、残念ながら落ち着いて鑑賞する雰囲気ではありませんでした。関東近郊にお住まいで「残念、見逃してしまった」という方は、こちらへ足を運んだほうが、ジャヤヴァルマン七世の尊顔や、上智大学アンコール遺跡国際調査団によってバンテアイ・クデイ遺跡から発掘された仏像たちと、じっくり向き合うことができるかもしれません。
 また、アンコール遺跡研究の第一人者である石澤良昭教授のレクチャーを、無料かつ予約不要で受けられるというも、都内のイベントではなかなかないことです(レクチャーは2月27日の予定です。詳細についてはこちらでご確認ください)。
 なお、山梨県立博物館へのアクセスは、JR中央線・石和温泉駅からバスで約10分とのことです。

2010-02-11

「伝統の森」にデイゴの花の咲く頃

 2月10日に配信されたメールマガジン「メコンにまかせ」(vol.205)で森本さんは、この季節に「伝統の森」で咲くいくつかの花について、以下のように記しています。

 沖縄では有名なデイゴの花が「伝統の森」できれいに咲き始めた。毎年2月の頃、森にはたくさんの花が咲く。そのなかでも、鮮やかな赤いデイゴの花は別格。
 それ以外にも、わたしが勝手に「山桜」と呼んでいる、ダムニエンとクメール語で呼ばれる木がある。白い小さな花を咲かせ、遠目には山桜そのものの。この新芽は、そのまま刻んで、バンチョックとよぶカンボジア風素麺の掛け汁に入れられる。
 今年はまだ花を咲かせていないが、ネムノキの花を一回り大きくしたような、夜に咲く赤い花、ダムカダオ。それ以外にも、珍しい花が見られるのが、この時期の楽しみでもある。
 そして、種から植えてもう6メートルほどに育った、その葉を黒染めに使うインディアン・アーモンドは落葉と新芽が同時にやってくる、不思議な光景が見られる。それは、ちょうど秋と春が一緒にやってくるようなもの。
 「伝統の森」は、ちょうどそんな季節の変わり目にある。

【以上、メールマガジン「メコンにまかせ」掲載記事に、一部加筆修正】

 この記事に出てくるデイゴやダムニエンの花をはじめ、名前のわからない花も含め、「伝統の森」に咲いている花の写真が森本さんから届きましたので、ご紹介させていただきます。

  

  

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2010-02-10

JICA地球ひろばでの写真展ならびに講演会の告知です

 JICA地球ひろばで、2月16日(火)から21日(日)までの6日間にわたって開催される、内藤順司写真展「甦るカンボジア:伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」と、2月20日(土)に開催される森本喜久男報告会「シエムリアップ・現地からの報告~伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」が、以下のブログ・Webサイトで紹介されています。

Webサライ
スピッツ公式ホームページ(Newsコーナー)
茶房高円寺書林
アンコール遺跡群フォトギャラリー
日本エコプランニングサービス
日本カンボジア研究会
NGO Network Japan/国際協力イベントカレンダー
展力
JICA地球ひろば

 Webサライに掲載された、森本さんが手にしたアンティークのすばらしい絹絣はなかなかのものです(注:布の周囲を縁取る黄色と赤の帯状の布は、後から縫い付けられたもので、絣布とは別のものです)。