2010-03-31

養蚕の村の変化

 3月25日に配信されたメールマガジン「メコンにまかせ」(vol.208)で、森本さんは、養蚕の村プノムスロックから届いた黄色い繭について、次のように記しています。

 バンティミィエンチェイ州のプノムスロックの村から、いつものように鮮やかな黄色い繭が20キロほど届いた。
 去年までは生糸に引かれたものが届いていたのだが、最近では繭のまま届くようになった。フランス系の企業が操糸機械で引くために、村びとから繭のままで大量に買うようになった。その結果、手引きの手間をかけないで換金できたほうがいいから、という簡単な理由だ。安易さに走る。やはり、人間は怠惰な動物なのだろうか。こうして何百年の伝統は、いともたやすく崩壊しそうだ。
 繭のまま届いたプノムスロックの蚕は、「伝統の森」の蚕よりも、孵化するサイクルが一週間ほど早い。蚕のライフサイクルは45日。それを繰り返す。だから、年にほぼ8回の繁殖を繰り返すことになる。しかし、ときに気温が40度を超す4月の酷暑の時期と、10月の雨季の最後の湿度が高くなる時期は、蚕も弱り、病気になりやすい。
 今はまだ3月。でも、今年はいつもより暑さが早くやってきた。そして、蚕も元気がない。暑さに負けて病気になり、死んでいく蚕の数が例年よりも多い。
 蚕は生き物。自然の変化に対応して、蚕が住みやすい環境を工夫しつつ暑さをしのいでやる。蚕を飼う家は、木々の陰になって、半日陰ぐらいがちょうどいい。逆に、完全な日陰にあると、雨季の時期に湿気にやられてしまう。

【以上、メールマガジン「メコンにまかせ」掲載記事から抜粋、一部加筆修正】
※黄色い繭の写真が届くと思っていたら、蘭の花を持つ女の子の写真が届きました。
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2010-03-24

3月25日発売の「クロワッサン」778号に森本さん登場

 3月25日発売の「クロワッサン」(778号)の巻頭インタビュー「あなたに伝えたい」に森本さんが登場します。先日のJICA地球ひろばで開催された内藤順司写真展の会場で、取材が行なわれました。
 なお、「クロワッサン」は隔週の発売です。表紙に〔3|25〕とあるのは3月10日発売の777号ですのでご注意ください。

2010-03-23

3月28日、BS日テレで、森本さんの取り組みが紹介されます

 BS日テレ開局10周年を記念して、3月28日(日)夜7時からの2時間枠で「世界で勝負!グレートジャパニーズ」という特別番組が放送されます。この番組の中で、森本さんの取り組みが紹介される予定です。
 以下、BS日テレの番組概要からの引用です。

【世界で勝負!グレートジャパニーズ】
 世界には意外なところで活躍しているすごい日本人(=グレートジャパニーズ)がいます。遠い異国の地で、地元より活躍している日本人。その姿はまさに“スーパー日本人”!
 外国人のハンディ。それをものともせず夢を実現する挑戦者たち!彼らは日本を背負うのではなく、自分の夢を叶えるために努力してきたのです。
 そんなまっすぐに生きる人たちの姿を通して、夢を持ち続けることの大切さ、夢を持つ事の尊さを知ってもらう番組を目指します。
 ■エジプトを代表する日本人プロダンサー・木村カスミ(KASUMI)さん
 ■カンボジアの伝統織物クメール織物職人・森本喜久男さん
 ■タンザニアで漁業革命に挑戦する日本人・島岡強さん

2010-03-20

3月19日付の「the Phnom Penh Post」で森本さんの活動が紹介されています

3月19日付のカンボジアの英字紙「the Phnom Penh Post(プノンペン・ポスト)」に、森本さんが紹介されています。記事のタイトルは、“A man of the cloth”となっています。

2010-03-19

ドイツの雑誌「natur+kosmos」でIKTTが紹介されました

ドイツの雑誌「natur+kosmos」でIKTTが紹介されました。(残念ながら、ドイツ語の記事内容をご説明はできません。悪しからず)。

2010-03-11

IKTTで使われているおもな染め材

 IKTTで使われているおもな染め材(自然染料)を、IKTTのシルクスカーフを使ってご紹介します。


 左から順に、黒(インディアン・アーモンド+鉄媒染)、グレー(ライチ+鉄媒染)、茶(ココナッツ+石灰媒染)、薄茶(ココナッツ+明礬媒染)、淡いベージュ(ブーゲンビリア+明礬媒染)、緑(プロフー+鉄媒染)、黄(プロフー+明礬媒染)。
 この他に、赤(ラック+明礬媒染)、紫(ラック+鉄媒染)、淡いベージュ(バナナ+明礬媒染)、青(藍)、白(生成り)などもあります(ブーゲンビリアとバナナ、どちらも淡いベージュとしていますが、染め材は異なるものの、染め上がりはほとんど同じになっています)。
 絹絣のための絣糸を染める場合には、同じ色を染め重ねることでの濃淡や、他の色との重ね染めなどの工夫をすることで、もっと多彩かつ微妙な色彩が生まれることになります。


関連記事 ⇒ IKTTで使われている染め材~ラック IKTTで使われている染め材~プロフー

2010-03-05

NHK WORLDで森本さんの取り組みが紹介されています

 先日のJICA地球ひろばで開催された内藤順司写真展「甦るカンボジア:伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」の会場で、森本さんはNHK国際放送局からインタビュー取材を受け、その内容が本日(5日)の海外向け放送のNHK WORLD(英語放送)で放送されました。
 タイトルは、Threading the Future with the Past(伝統を踏まえて未来へつなぐ)です。
 番組のなかでは、内藤順司さんの写真のほか、一昨年に「伝統の森」で開催された蚕まつりをビデオ撮影した寺嶋修二さんの映像も使われています(DVDビデオ『蚕まつり2008』に収められている映像です)。
 この番組内容は、NHKのWebサイト上のNHK WORLD (Threading the Future with the Past)で公開されています(映像の公開は一週間とのことです)。ぜひとも、ご覧ください。

2010-03-01

報告会レポート~2月19日、尾州テキスタイルデザイナー協会

 2月19日に、一宮地場産業ファッションデザインセンターで開催された、尾州テキスタイルデザイナー協会主催のセミナーでの森本さんの講演会の写真が届きました。

 

 尾州(尾張平野周辺)は、もともと織物が盛んな地域で、古くは絹織物や麻布で知られ、安土桃山時代に綿花栽培が広まると綿織物が絹織物を凌ぐまでに成長し、江戸時代には桟留縞(さんとめじま)が、尾州特産として広く名を馳せました。その後、明治期に入ってからは綿織物から毛織物へと生産の主軸を移すことに成功します。
 このように織物と深いかかわりを持ってきた尾州産地の方々が、今回のセミナーのテーマに掲げたのは、「技術の継承」と「産業復興」でした。カンボジアの伝統織物復興に携わってきた森本さんの話から、新しい時代におけるものづくりへの取り組みのきっかけをつかみたいと、講演依頼が入ったそうです。
 当初、森本さんは「カンボジアでの自分ひとりの経験が、産地の方々にとって意味があるのだろうか」と講演を引き受けるのに躊躇したのだといいます。しかし、「作りたいモノ、自分が納得できるいいモノを作りきらなければ」という自分の言葉に深くうなずいてくれた人たちを見て、安心したそうです。
 また、藍染めを例に出しての「急いで染めた色は、急いで落ちる」という話には、講演後の歓談のなかで「機械織りの毛織物であっても、スピード(=生産性)を考えるのではなく、機械をゆっくり動かして織ったものはいい風合いがでるんだよ」という話が返ってきたことで、ものづくりをきちんと考えている人たちの思いを共有できたのではないか、と感想を述べていました。