3月25日に配信されたメールマガジン「メコンにまかせ」(vol.208)で、森本さんは、養蚕の村プノムスロックから届いた黄色い繭について、次のように記しています。
バンティミィエンチェイ州のプノムスロックの村から、いつものように鮮やかな黄色い繭が20キロほど届いた。
去年までは生糸に引かれたものが届いていたのだが、最近では繭のまま届くようになった。フランス系の企業が操糸機械で引くために、村びとから繭のままで大量に買うようになった。その結果、手引きの手間をかけないで換金できたほうがいいから、という簡単な理由だ。安易さに走る。やはり、人間は怠惰な動物なのだろうか。こうして何百年の伝統は、いともたやすく崩壊しそうだ。
繭のまま届いたプノムスロックの蚕は、「伝統の森」の蚕よりも、孵化するサイクルが一週間ほど早い。蚕のライフサイクルは45日。それを繰り返す。だから、年にほぼ8回の繁殖を繰り返すことになる。しかし、ときに気温が40度を超す4月の酷暑の時期と、10月の雨季の最後の湿度が高くなる時期は、蚕も弱り、病気になりやすい。
今はまだ3月。でも、今年はいつもより暑さが早くやってきた。そして、蚕も元気がない。暑さに負けて病気になり、死んでいく蚕の数が例年よりも多い。
蚕は生き物。自然の変化に対応して、蚕が住みやすい環境を工夫しつつ暑さをしのいでやる。蚕を飼う家は、木々の陰になって、半日陰ぐらいがちょうどいい。逆に、完全な日陰にあると、雨季の時期に湿気にやられてしまう。
【以上、メールマガジン「メコンにまかせ」掲載記事から抜粋、一部加筆修正】
※黄色い繭の写真が届くと思っていたら、蘭の花を持つ女の子の写真が届きました。
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