2012-07-23
カフェギャラリー プテアでの報告会終了しました
ご報告が遅くなりましたが、7月13日に大阪・池田のカフェギャラリー プテアで開催された森本さんの報告会「自然の恵みを色にする」は無事終了しました。
森本さんにとっては、大同生命国際文化基金による「大同生命地域研究特別賞」をいただいた直後ということもあり、いろいろな思いが交錯した晩だったと思います。
落ちついた雰囲気のなかで、森本さんのお話は始まりました。会場には、懐かしい顔もあり、今回初めて参加された方もあり、ひとりひとりの顔を見ながら森本さんの話は続きます。1995年に始まったカンボジアの伝統織物とのつきあい、その過程での織り手・括り手ひとりひとりへの思い、そして始まったばかりのMUJIとのコラボレーションにつぎ込む思い。すべては、すばらしい布を作りたいと思う人たちへのシンパシーに始まり、それが今も続いているように思いました。
不安定な雨模様のなか、会場にお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
2012-07-22
上空から見た「伝統の森」工芸村エリア
森本さんがfacebookにアップした「伝統の森」の工芸村エリアの写真を再掲します。
写真中央左寄りの、切妻(屋根)が4つ続く建物が、2階がショップ、階下に織り機が並ぶ、工芸村のメインの建物です。
その奥の木々に埋もれた2棟の建物のうち、右側が2階に森本さんのデスクのある事務棟です(階下のオープンスペースは、スタディツアーのミーティングなどに使われています)。
写真中央右寄りの建物はゲストハウス、右下からゲストハウスに向かう道の右側の白い屋根は、牛小屋と資材置き場です。ゲストハウス手前、右方向に並んで茂る木々はマンゴーの木、ショップと事務棟の間に高く枝を張り出しているのはインディアン・アーモンドの木です。どちらも、この工芸村が形になりはじめてから、植えたものです。
ショップのある建物の手前にあるのは、工芸村で働く人たちの住居兼作業場です。織り手や括り手の家族が暮らす高床式の家屋が2つ(2階が住居、1階が作業スペース)、その間に染め場や作業場、そして長屋のような集合住宅もあります。
事務棟の奥に左右に広がるのは沼の水面です。沼を挟んで対岸には、桑畑と野菜畑が見えます。沼は、写真左側に回り込むように広がり、その対岸にも桑畑、綿花畑、藍畑などがあります。
なにもなかったところに、この10年の間に、森本さんと「伝統の森」移り住んだ人たちの手で作り上げたこの村は、「手の届くところに素材のある暮らし」を実現した、カンボジア最高の伝統織物の制作工房であり、人びとが自然とともに暮らす村でもあります。
2012-07-16
森本さんのプロフィールを更新しました
報告会を主催された方々から「報告会で、IKTTの森本さんがどういう活動をしてきた人なのか紹介したいのだが、森本さんのプロフィールを簡単にまとめたものはないのか」というお問い合わせをいただきました。
森本喜久男(もりもと・きくお)
1948年生まれ。IKTT(Institute for Khmer Traditional Textiles ;クメール伝統織物研究所)代表。1996年にカンボジアの現地NGOとしてIKTTを設立。以来、内戦下で途絶えかけていたカンボジア伝統の絹織物の復興を促すとともに、人びとの暮らしの再生と、人びとの暮らしを包み込む自然環境の再生に取り組んでいる。「伝統の森」とは、シエムリアップ郊外にあるIKTTのプロジェクトサイトである。
著書に『メコンにまかせ 東北タイ・カンボジアの村から』、『カンボジア絹絣の世界 アンコールの森によみがえる村』、ほかに私家版の『Bayon Moon - Reviving Cambodia's Textile Traditions』(英語版)、『森の知恵 The Wisdom from the forest』(クメール語版)など。また、「伝統の森」で開催されたイベントを記録したDVD『IKTT伝統の森 蚕まつり2008』などがある。
第11回ロレックス賞受賞(2004年)、社会貢献者表彰(2010年)、大同生命地域研究特別賞(2012年)。
【略年表】
1948年:京都に生まれる。
1971年:京都にて手描き友禅の工房に弟子入り。
1974年:レイデザイン研究所テキスタイルデザイン科卒業。
1975年:独立して手描き友禅工房(森本染芸)を主宰。
1980年:初めてタイを訪れ、クロントイ・スラムに滞在。バンコクの博物館でカンボジアの絣布に出会う。
1983年:タイのラオス難民キャンプの織物学校のボランティアとしてタイへ渡る。タイの手織物と出会う。
1984年:東北タイの農村での手織物プロジェクトの設立に関わり、その後、草木染めの調査、指導を続ける。
1988年:バンコクに草木染シルクの店「バイマイ(「木の葉」の意)」を開店。
1990年:ワシントンの織物博物館(the Textile Museum)のタイでの調査に協力。「タイ東北地方に於ける伝統的草木染めについて」の報告書を提出(その成果は "Textiles and the Tai Experience in Southeast Asia" に掲載)。
1992年:キング・モンクット工科大学のテキスタイルデザイン科の講師となる。
1995年:ユネスコ・カンボジアの手織物プロジェクトのコンサルタントとして現地調査を実施。「カンボジアに於ける絹織物の製造と市場の現況」調査報告書を提出。カンポット州タコー村で、在来種による伝統的養蚕の復興プロジェクトを開始。
1996年:プノンペン郊外、タクマオ市にIKTT(Institute for Khmer Traditional Textiles ;クメール伝統織物研究所)を設立。国際交流基金アジアセンター主催の、アジア各地の織りの担い手たちとのワークショップに参加。
1998年:第一書林より『メコンにまかせ 東北タイ・カンボジアの村から』を上梓。
1999年:「桑の木基金」設立。地雷被害の大きいバッタンバン州などで養蚕プロジェクトを開始。
2000年:IKTTをシエムリアップに移転し、研修生の受け入れを開始する。沖縄県南風原町主催の「アジア絣ロードまつり」に参加。パネリスト・レクチャラーとしてカンボジア伝統織物についての報告を行なう。
2002年:シエムリアップ州アンコールトム郡に約5haの土地を取得。「伝統の森・再生計画」予定地とする。マサチューセッツ州ノースハンプトンで開催されたテキスタイル・ソサエティ・オブ・アメリカの第8回シンポジウム「Silk Roads, Other Roads」に参加し、カンボジアの伝統織物の現状を報告。
2003年:「伝統の森・再生計画」に着手(その後、対象地は約22haにまで拡張)。「伝統の森」で蚕供養を始める。福岡市美術館「カンボジアの染織」展に招かれ、講演「カンボジアにおける伝統織物の復興」を行なう。在シエムリアップの学術系NGO、センター・フォー・クメール・スタディーズと共催で「ホール(絣):クメールとチャム、2つの美の融合」と題する企画展示ならびに学術セミナーを開催。
2004年:「世界中の新規及び進行中の独創的かつ革新的なプロジェクトを実行している個人」に贈られるロレックス賞(第11回)を受賞。
2007年:プノンペンの王宮にて、研究所の主要スタッフとともにノロドム・シハモニ国王への接見の栄誉を賜る。
2008年:NHKブックスより『カンボジア絹絣の世界 アンコールの森によみがえる村』を上梓。『Bayon Moon - Reviving Cambodia's Textile Traditions』を私家版として上梓。フランスの旅行会社アジア・ボヤージの協力により、パリ・リヨン・トゥールーズにおいて展示会を開催。「伝統の森」にて「蚕まつり2008」を開催(前夜祭としてファッションショーを実施)。
2009年:カナダのバンクーバーで開催されたMaiwa Textile Symposium 2009に招かれ、レクチャーとワークショップを行なう。沖縄・南風原文化センター主催の「アジア・沖縄 織りの手技」展に招かれ、講演を行なう。タイ・テキスタイル・ソサエティの名誉会員となる。
2010年:ノロドム・シハモニ国王の訪日に際し、鳩山首相との午餐会に臨席する栄誉を賜る。公益財団法人社会貢献支援財団より社会貢献者表彰を受ける。
2011年:クメール語の小冊子『森の知恵 The Wisdom from the forest』を上梓。
2012年:クアラルンプールで開催された「ワールド・テキスタイル・シンポジウム2012」で講演を行なう。公益財団法人大同生命国際文化基金による、2012年度の大同生命地域研究特別賞を受賞。
なお、IKTTそのものの活動の経緯については、「IKTT(クメール伝統織物研究所)とは」も併せてご覧ください。
2012-07-14
森本さん、大同生命地域研究特別賞を受賞
7月13日、大阪の大同生命本社において、公益財団法人大同生命国際文化基金による、2012年度の大同生命地域研究賞の贈呈式が開催されました。
大同生命地域研究賞とは「地球規模における地域研究」に貢献した研究者を顕彰するものですが、多年にわたって地域研究の発展に著しく貢献した研究者への「大同生命地域研究賞」のほかに、新しい展開を試みた研究者への「大同生命地域研究奨励賞」、そして対象地域を通じて、国際親善、国際貢献を深める上で功労のあった者への「大同生命地域研究特別賞」があります。
今回、森本さんは、「大同生命地域研究特別賞」を受賞しました。過去の特別賞受賞者を見てみると、初回の1987年度が本多勝一、92年度に鶴見良行、93年に市岡康子、95年に高野悦子、98年に向後元彦、99年に大村次郷、2003年に中村哲、04年に前川健一、05年に松岡環、07年に村井吉敬、08年に嘉田由紀子、10年に門田修(以上、敬称略)などの方々で、ジャーナリスト、写真家、プロデューサー、研究者、県知事、NGO活動家など多岐にわたります。
森本さんの行なってきた「カンボジアにおける伝統に根ざした生活文化と自然再生への実践的な貢献」について、業績紹介をされた秋道智彌・選考委員は、現在のカンボジアで作られる最高レベルの作品としてのクメール織の復活と再生のみならず、その制作に従事する女性たちの自立を促し、なおかつ在来種の繭と天然染料による制作という伝統に徹していることを指摘されています。そして、「伝統の森」再生計画については、「伝統的な織物技術を再生し、合わせて地域住民の生活向上と自然環境の再生を総合的に進めてきた努力と着想」は、きわめて意義ある活動といえると評価されました。そして、従来の国際援助の常套手段であった機械の売り込みや箱もの・道路の建設とは質の異なる、地域に根ざした国際協力の典型例であると、紹介されました。
2012-07-06
7月13日、カフェギャラリー プテアでの報告会のご案内
森本さんの一時帰国にあわせ、7月13日(金)に、大阪の池田で報告会を開催します。
会場は、12日(木)から「カンボジアの絹絣展」を開催するカフェギャラリー プテアです。
【森本喜久男・報告会】
~自然の恵みを色にする~
と き:7月13日(金)
19時から(20時30分終了予定)
ところ:カフェギャラリー プテア
大阪府池田市菅原町10-8
Tel:072-737-5326
阪急池田駅1番出口より徒歩5分
入場無料、定員20名
(できるだけご予約願います)
※参加申し込みは、info@phteah.net (@マークを半角に替えて送信願います)あるいは電話 (072-737-5326 プテア)までお願いいたします。
2012-07-03
7月12日-15日、カフェギャラリー プテア「カンボジアの絹絣展」のご案内
今年3月に大阪池田にオープンした、長屋の小さなカフェギャラリー プテア(phteah)で、「カンボジアの絹絣展」が開催されます。
会場では、IKTTで制作されたクメールシルクの展示と販売が行われます。
ちなみに、プテア(phteah)とは、クメール語で「家」のことです。
と き:7月12日(木)~15日(日)
12:00~20:00
ところ:カフェギャラリー プテア
池田市菅原町10-8
Tel:072-737-5326
阪急池田駅1番出口より徒歩5分
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