2011-06-10

映画「僕たちは世界を変えることはできない。」、そして川原医師の「手当て」

 6月9日に配信されたメールマガジン「メコンにまかせ」(vol.249)で、森本さんは先月末に突然日本にやってきた理由を説明されました。
 9月に全国ロードショー予定の、向井理さん主演の映画「僕たちは世界を変えることはできない。」の前売券購入者へのプレゼントとして、カンボジアのクロマーが贈られるそうです。じつは、そのクロマーの準備を、カンボジアにいる森本さんが依頼されていたのです。残念ながら、IKTTのシルクのクロマーではなく、森本さんが古くから知る、プノンペン近郊の織り手たちの村のクロマーだそうです。
 そのクロマーの発送手配が予定どおりにいかず、前売券の発売開始に間に合わせるために少量でも手持ちで日本に持ち込む必要があった、というのがコトの真相のようです。カンボジアの通関ルールに変更があったらしく、発送と通関を請け負っていた業者さんにとっても予想外の展開となったようでした。
 クロマーを成田空港で宅配便に託した後は、フォトグラファー内藤順司氏の紹介もあり、名取市へと向かい、現地で活動されるNPO法人ロシナンテスの川原尚行医師とそのスタッフのみなさん、そして現場に駆けつけたボランティアの方たちとの出会いがありました。以下、メールマガジンより、引用します。

 この数ヶ月、日本から伝えられるニュースを見ながら、カンボジアの地で被災地の方たちへの思いが募っていた。そして急遽、仙台の被災地で活動されるNPO法人ロシナンテスの川原尚行医師とそのスタッフのみなさん、そして現場に駆けつけたボランティアの方々とお会いする機会が持てた。しかし、訪れて、あらためて現場の大変さと、そこで活動される方々の気迫を感じた。厳しい現実を現実として受け止める、そこからしか始められないことだと、感じた。
 ロシナンテスの川原医師とは、被災地仙台で再会。スーダンで医療支援活動をされてきた川原医師が東北の被災地に入られたのは3月15日から。被災地での緊急支援の必要を理解し、そこにとるものもとりあえず駆けつけられた。それ自体、すごいこと。そして、被災地で現地の方と接しながら、川原さんは「薬はいらない」「大切なのは、手を当てること」と言われた。戦場のような被災地の中で、人びとと接しながら、医師として「手を当てる」行為の大切さを改めて実感されていた。その言葉は重く、お聞きしながら感激してしまった。
 そして、あらためて誰かに期待するのではなく、一人一人が個として、自身にとって身近な人にとって大切なことを見極めることが必要なのだと思えた。それは、基本は自己責任。そのための優先順位をはっきりさせ、それに従って行動することが必要なのではないだろうか。そして、のちのち後悔なく、納得できることをしなくてはならない。他人の目や、一般常識などにとらわれる必要はない。自身で決めていくこと、そんなことをあらためて感じた。

【以上、メールマガジン「メコンにまかせ」掲載記事から再掲】
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