みなさま、森本喜久男です。
昨年の、ファッションショーが好評だったからなのでしょうか。今年(2009年)の「蚕まつり」と、「ファッションショー」の開催予定について、すでにいくつかの問い合わせが入るようになってきました。
今年の「蚕まつり」は9月6日(日)、その前日の5日(土)に、前夜祭として「ファッションショー」を開催する予定です。
*
わたしたちIKTTは、これまで「伝統の森」で、毎年9月の満月の日にあわせ、蚕まつりを行なってきました。
ご存知のとおり、わたしたちは、カンボジア伝統の絹織物を制作しています。そして、その絹織物を販売することで、わたしを含め400人以上の研修生たちの生活が成り立っています。いわば、お蚕さんにわたしたちは「食べさせて」もらっているのです。
しかし、生糸を取るためには、そのお蚕さんを繭のまま釜茹でにします。つまり殺生をすることになります。カンボジアでは多くの人たちが敬虔な仏教徒です。仏教徒にとって、殺生はしてはならないことのひとつです。わたしが14年前、カンポットのタコー村で伝統的養蚕を再開しようと働きかけたときも、村びとのなかには「殺生するのはいや」と いう声がありました。しかし、わたしは、これは無益な殺生ではない、わたしたち自身がそれで生かされているのだ、と村びとたちに説明したのです。
「伝統の森」で養蚕を開始し、その蚕たちの繭からはじめて生糸ができたとき、わたしはそのことを思い出しました。そして、わたしたちがこの地でアンコールの神がみに生かされていることに感謝し、さらにはお蚕さんに生かされていることに感謝して、蚕を供養をしようと思い立ちました。古い中国の資料にも、蚕を祭る儀式があったことが記されています。日本やベトナムには、蚕寺があるそうです。養蚕が盛んだったところでは、蚕を祭る習慣があっても不思議ではありません。
2003年の9月の満月の日、「伝統の森」で、はじめて蚕まつりを催しました。午前中は、お蚕さんを供養する儀式を行ない、IKTTの研修生全員で昼食をとります。食事の準備もみんなで分担して行ないます。食事のあとは、青空ディスコで盛り上がるのが定番となりました。
今年は、9月6日(日)に、その蚕まつりを開催いたします。さらに、5日(土)の夜には、ファッションショーをメインイベントとする前夜祭を、「伝統の森」で開催いたします。このファッションショーの基本にあるのは、「自分たちが織り上げた布を、自分たちでまとって、ステージに立つ」ということです。自分たちの作っているものは、こんなにもすばらしいものなのだということを、IKTTのメンバーのひとりひとりに理解してほしいと思うのです。
昨年のファッションショーについては、見学された方たちから高い評価をいただきました。今年はさらなるバージョンアップを試みるつもりでいます。
みまさま、「伝統の森」の蚕まつりに、そして「伝統の森」のファッションショーにぜひともお越しください。お待ちしております。
【メールマガジン「メコンにまかせ」掲載記事に、一部加筆修正】
なお、昨年(2008年)の前夜祭の様子を伝えるレポート(伝統の森・蚕祭り前夜祭印象記)については、たとえば以下の記事をご参照願います。
▼伝統の森・蚕祭り前夜祭印象記(メールマガジン「メコンにまかせ」[vol.126]掲載)
2009-04-19
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿