「伝統の森」とは?
IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本さんが、現地で取り組んでいるプロジェクト「伝統の森・再生計画」のプロジェクトサイトを指します。
どこにあるの?
シエムリアップの町からは、北へ車でおよそ1時間ほどのところに位置し、シエムリアップ州アンコールトム郡のピアックスナエンと呼ばれる地域にあります。
どんなところ?
2009年4月現在、森本さんをはじめ、IKTTのスタッフたちとその家族約200人が暮らしています。
カンボジアの伝統織物の制作が行なわれている工芸村エリアでは、養蚕に始まり、糸繰り、括り、染色と、生糸が絹織物に織り上げられるまでの工程の、さまざまな作業が行なわれています。織り上がった絣布などを展示販売するショップ、訪問者が宿泊するゲストハウスも、この工芸村エリアにあります。
「伝統の森」のうち、ほぼ半分のエリアでは「森」の再生を促しています。残りの半分が開墾され、桑畑、綿花畑、藍畑などのほか、工芸村や居住地区、学校、野菜畑になっています。
いつ始まったの?
2002年7月に、まず約5ヘクタールの土地を取得しました。これが、「伝統の森・再生計画」の第一歩でした。翌2003年の2月からは、タコー村の若者たちが住み込み、開墾に着手します。一方で、桑や染め材となる植物の苗を準備して育てていきます。こうして、シエムリアップの工房での織物づくりと並行して、「伝統の森」での森の再生と、新しい村づくりが始まったのです。荒れ地をひらき、道をつくり、少しづつ開墾エリアを広げ、そこに桑や藍の苗を植え、野菜畑をつくり、家を建てたりと、すべては手づくりです。その後、何度かの土地の拡張を経て、現在「伝統の森」は、約22ヘクタールの規模にまで広がりました。
なぜ森を育て、村までつくるの?
カンボジアの伝統織物の復興に携わるうちに森本さんは、織物を再生するだけではなく、織り手を育て、さらには織り手である村びとたちが暮らす自然環境までを再生しなければ、伝統織物を再生したことにはならない、と考えるようになりました。かつてカンボジアの村には、手の届くところに染め織りの素材があり、村の外から何も持ち込まなくても、すばらしい織物が生み出せる自然と環境がありました。そうした自然環境(=森)の再生と、その自然の恵みを上手に生かすカンボジアの人びとの「暮らし」と「知恵」の復活、それらすべてを統合したかたちで「伝統織物の復興」を進めようというのが、森本さんが「伝統の森・再生計画」と名づけたプロジェクトなのです。
[注:「伝統の森」の見取図は日本放送出版協会の掲載許諾を得たもので、転載は不可です]
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